2023-01-01から1年間の記事一覧
サルトルは言った。 「実存は本質に先立つ」 ひとは何にでもなれるし、何になってもかまわないのだ。 僧侶の資格を取ろうと思ったのにはいくつか理由がある。 ひとつは、物質的豊かさが手に入らないと諦めたから。 せめて精神的豊かさを手に入れたい、という…
いままさに飛行機が墜落しようとしている。 覚悟した男は紙とペンをとった。 殴り書きのようになにかを書きつけ、それを飲み込んだ。 飛行機は墜落した。 瓦礫の中から発見された男の遺体。 口の中に紙切れのようなものが見える。 そこには3つの女性の名が書…
La lumière s'éteint. L'obscurité envahit mes poumons. Je ne peux pas respirer. D'où venons-nous ? Que sommes-nous ? Où allons-nous ? Elle s'est enfuie. Puisque j'ai dit que je l'aime. Je savais tout, tout, tout. Les larmes tombent profondé…
映画だけが人生か。 否。 断じて否である。 彼にとって映画を撮ることは生きることと同義であった。 身の回りの人物や出来事をドキュメンタリーでありのままに記録し続け、いくつかは身を切るようなフィクションに転化させもした。 恋人との電話口での会話を…
I feel lonely surrounded by the people I love. There is no ground where I breathe. Just I said, Oh flower! After taking a shower, I walked in the sky like a spider. Can I call you tonight to say nothing? I need more seeds and bulbs in my r…
2023年3月19日、失踪した37歳男性の賃貸マンションでふたつの手記が発見された。 どちらも筆跡は男性のものと見られ、日付は5年前となっている。 当時、男性がスケートボードで転び、右足を骨折した模様を綴った日記のようなものだろう。 ここにその全貌を記…
パンドラの箱から邪悪なものがドバッと飛び出したあと、箱の底に残ったのは希望だったという。 いまわたしの体からは、ドロドロとした邪悪なものが出まくっている。 毒も油も酒も薬も。 涙も正義も愛も観念も。 カントいわく、わたしたちは物自体としての対…
アーツ・アンド・クラフツ運動の主導者ウィリアム・モリスが言うように、生活の中に芸術は必要だと思う。 モリスの主張とはややニュアンスが違うが、きれいなものに囲まれていた方が生活は整っていくように感じられる。 2014年2月、住み慣れた西宮から京都の…
5歳から15歳まで剣道を習っていた。 水曜と土曜の18時から20時まで、町内の有志の先生に稽古をつけてもらっていた。 いわゆる地元のスポーツ少年団というやつだ。 なぜ剣道を始めたのかは忘れたが、おそらく父のススメだったのではないか。 父は剣道と弓道を…
黒澤明の『夢』やルイス・ブニュエルとサルバドール・ダリの『アンダルシアの犬』など、作り手が夢で見た光景を映画化した作品は比較的多くある。 あるいは夏目漱石の短編集『夢十夜』やハワード・フィリップス・ラヴクラフトの『忘却の彼方へ』など、夢を題…
幼稚園の卒園文集の「好きな食べ物」の欄には「大根の味噌汁」と書いた。 大根とは我ながらシブい。 小学校の卒業文集の「いま思うこと」の欄には「カツ丼食べたい」と書いた。 こちらはシュールを気取ってひどくサムい。 ちなみに私の隣には、町内で同じく…
仏に縁がある。 お寺とフランス、漢字で書けばどちらも仏。 18歳の冬、国立大学の受験に失敗し、第二志望の私立大学へ行くことになった。 第一志望は教育学部だった。 ぼんやりと英語の先生にでもなろうかと考えていたのである。 第二志望は文学部だった。 …
必要以上に死を恐れる人がいる。 タナトフォビアという症状らしい。 私はおそらくそれだ。 お寺の子ということもあり、妙な言い方だが、死には慣れ親しんできたつもりだ。 ただし、それはもちろん他人の死である。 それとは別次元で、自分自身の死を考えると…